2011年度 第9回勉強会

自然エネルギーへのシフトと市民参加

山下紀明氏(環境エネルギー政策研究所主任研究員、東京都市大学非常勤講師、京都大学大学院地球環境学舎特任講師 )


2月8日、自然エネルギーへの転換を唱える山下紀明氏をお招きしご講義いただきました。


 講演の中で山下氏はまず原子力発電が民主主義や倫理後の世代など様々なものに関係していることを述べられた。 現在を生きる我々は倫理的にのちの世代のことも考えながら民主主義的に原子力発電を行わなければならない。原子力発電は一見無関係に思われる様々なものと深く関係している。ここで重要なのは、原子力をある1点から観察し、結論を出すのではなく多角的な視点から観察をすることであると山下氏は言う。


 確かに原子力発電は日本の20%強の電力を補っており、重要な発電方法の一つであるものの、もし日本から今すぐに原子力発電がなくなったとしても日本の電力は足りるという統計も存在する。 電力は保存がきかないため随時原子力が安定した供給を行ったとしても、そのほとんどがピーク時以外は使われない電力となるのだ。 つまりピーク時以外は原子力なしでも電力をまかなえる。ということはピーク時にうまく節電をすることでピーク時の電力も原子力なしで賄うことが可能なのである。 節電はいいことだが電力が足りているときに節電をしても大きな効果はない。ピーク時のみ節電をするだけで大きな効果が得られるということになる。節電はむやみやたらにやるのではなく効率的行うべきであるという。

 

 日本は意外に莫大な自然エネルギーのポテンシャルを有している。3.11後の日本で世論が自然エネルギーの普及に向かいつつある今、世界では一足早く自然エネルギーへの取り組みがなされてきた。これからの日本の貿易事情や、世論の動きを考えるに自然エネルギーへの脱原発の動きは止められないだろう。すぐに原発を廃炉にするのは厳しいかもしれないが、中長期的なエネルギー転換政策を唱えるべきだと山下氏は述べられた。 小さい島ではあるが、世界には自然エネルギーだけでその島の全電力を補っているところもある。そこも最初は風車の設置など、困難も多かったそうだが、最終的には良い方向に向かった。 我々も考えることは大事であるが、時には行動をしなければいけない時もある。一人ひとりできること(社会に伝える、知識を蓄える、省エネするetc)をやっていくことが必要、と山下氏は指摘した。

 

 最後に今回の講演会の一番のポイントは表の情報だけにとらわれないということです。情報のその裏を読み、考え、広い視野を持って物事を見られるようになっていきましょう。

 

 ご講義くださいました山下様、本当にありがとうございました。