2016年度 第2回フィールドワーク

土木展


 9月21日、港区赤坂の「21_21 DESIGN SIGHT」にて開催中の「土木展」を見学しました。今回は、第2回定例会テーマである「労働市場のミスマッチ~働くということ~」に関連し、建設業界における最新の取り組みに触れ、その発展や私たちの暮らしへの繋がりを知ることで、労働問題に対する解決策を探る一助とすることを目的としました。

建設業の役割


 展示内容の多くは、日本において、建設業がこれまでに果たしてきた役割を示すものでした。 

 

 まず、私たちの目を引いたのは、渋谷駅・新宿駅・東京駅の構造図です。いずれも駅や線路、周辺の建設物を模式化したもので、建設デザイン的な要素も盛り込まれています。渋谷と新宿の両駅については特に複雑で、ひと目見るだけではまったく理解が追いつきませんでした。複雑化の一途をたどる鉄道駅が、建設業の高度な技術によって支えられていることを痛感しました。

 

 また、「キミのためにボクがいる。」と名付けられた、防災技術を紹介した映像作品も展示されていました。例えば、土砂崩れに対する対策として、「森林を伐採して斜面をコンクリートで舗装するのではなく、木々の合間を縫って杭を打ち込むことで、森林の保全も図ることができる。」というような最先端の防災技術を知ることができ、とても驚きました。

建設業の未来


 展示の終盤には、「土木と哲学」と銘打ったセクションがありました。「非日常に備えながら日常を支えるのが、土木の哲学です。」という文言とともに、未来へ向けてますます重要となる土木の役割が考察されていました。 

 

 1時間にも及ぶ東日本大震災の復興現場における映像作品や、日本で活躍する建設重機とその操縦者を紹介する書籍といった、建設業と私たちの生活の密接な関連を示す展示が多くありました。

所感


 「建設業界において、労働のミスマッチが生じてしまうのはなぜか」。これは第2回定例会を通じて、各班が一定の結論を導いた問いかけです。そのうちの1つには、「建設業に対するイメージ」が挙げられていました。労働問題をイメージの一言で片付けてしまうのは早計に過ぎるようにも思われます。しかし、そのイメージは単に良い・悪いで表現できるものではありません。

 

 「土木展」における数々の展示は、いずれも建設業界の魅力を端的に表現したものでした。私たちがいかに建設業の恩恵を享受しているか、はっとさせられる場面も多くありました。また、普段は建設物を「使用する」側の私たちですが、「建設する」側の視点に立つことで、建設業に身を置く人々の考え方をより深く理解することができました。

 

 このように建設業を多角的に理解することが、建設業に対する良いイメージを形成し、労働問題の解決の一助となるように思われます。私たちは更なる労働問題の解決策の追究のため、多種多様な業界について積極的に触れ、思索を深めていきたいと考えます。

文責 釋悟史