2020年度 第4回事前学習


 10月23日、Web会議サービスであるZoomにて第4回事前学習を行いました。これから学ぶテーマは「少子高齢化と現代日本~産みたい人が産める社会へ~」です。

少子化の問題点


 少子化の問題について考えるときに重要なのは”誰にとってどのように問題なのか”という視点である。少子化問題を地球規模で考えた場合、一見問題と思われる少子化はむしろ良い傾向として捉えられる。なぜなら現代においては人口爆発による食糧難問題が前景化しているからだ。しかし今回は、日本などの先進国にとって少子化がどのように問題なのか班に分かれて考えた。主な問題として挙げられるのは経済面と技術面における衰退である。まず経済面に関してだが、日本の経済成長は経済成長の三大要因であるヒト、金、イノベーションのうち特にイノベーションに依拠してきた。しかし少子化による人口減少でこのイノベーションが起こりにくくなっているため、経済成長の低迷が懸念される。次に技術面に関してだがこれは農業をモデルとして考えてみる。現在の日本の農業就業人口の70%以上は65歳以上である。これにより後継者不足が心配され、生産量は低下し、ひいては日本の国際競争力低下につながることが懸念される。以上のように経済と技術という観点だけから見ても、少子化は我々日本国民にとって切実な問題なのである。

少子化の原因


 少子化の原因は端的に言えば結婚する人が減ったからである。現在の日本において子供は97.7%の確率で嫡出子であり、それぞれの夫婦が理想とする子供の数は過去と比べて大差ないことを考えると結婚する人々の数が減少したこととなる。そして結婚願望がある人々が多いことも考慮してみれば、少子化の根幹は”結婚したい人々が結婚できていない”ことだと考えることができる。ではなぜ結婚できないのか。それに関して大きく分けて2点指摘する。1点目は従来の”男は外で働き女は内で家事をする”という日本型雇用システムが変化したことである。現在では女性の社会進出が進み、家事をしながらも働く女性が増加するなど、従来の均衡状態が崩れているということである。2点目はジェンダーの問題である。働く女性が増える一方、男尊女卑社会の名残や女性への配慮が欠けているが故に結婚や子育てを考える余裕がないのが現状だということである。

改善策


 25歳から34歳までの未婚者に、独身である理由を聞いてみたところ、心的なものだと「まだ必要性を感じないから」「自由さや気楽さを失いたくないから」「もっと仕事に打ち込みたいから」といったものがあげられた。また、金銭的な面では「結婚資金が足りないから」という理由もあげられた。その改善策を模索するべく、「晩婚化・非婚化を食い止めるためには」という趣旨のもと、6班に分かれてワークショップを行った。

 偶数番号の班の主体を北海道夕張市の自治体、奇数番号の班の主体を東京都新宿区の自治体とし、対象を結婚意欲のある未婚又は交際相手がいない22〜30歳の男女とした。夕張市における改善策としては、10年以上前に財政破綻していることを考慮し、財源を確保するべく周りの市と合併し結婚資金を提供するといった意見や、交流の機会を増やすために隣の町と祭りを開催するなどの意見があげられた。一方、新宿区は夕張市とは異なり、豊富な財源を生かして制度設計すべきだという考えを持つ班が多く、不平等性を避ける為にも結婚願望のない人にも均等に現金を配布する意見がみられた。これらを踏まえ、実際に行われている政策として、埼玉県による公的な婚活サイト「恋たま」が例としてあげられた。

まとめ


 今回の事前学習では、少子化×技術と少子化×経済という二つの観点から少子化問題を見つめなおした。二つとも比較的マクロ的な視点だが、ワークショップから学んだように少子化は個人の問題でもあり、少子化×個人の幸福実現という、よりミクロで具体的に考えることが、現状の打破に繋がる重要な施策となることを学んだ。

所感


 少子化問題は様々な要因が複雑に絡み合っている問題であると同時に我々の意識を変化させなければ解決できない深遠な問題であることを改めて痛感した。(渡辺)

 

 まだ20代である自分は少子化による損害は受けていないと感じていたが、実際は潜在的に悪影響を与えられていたことを痛感し、即急に対応しなければならない問題であることを再確認することができた。(三好)

                           

文責:渡辺尊友、三好紀之