2011年度 第1回リフレクション

日本の財政


 5月20日の定例会では、前週に行われた片山さつき氏による「日本のこれからー日本の財政ー」のリフレクションを行いました。


ディスカッション概要 ―プライマリーバランスをゼロにするには―


 8グループに分かれ、勉強会によって考えたことを共有したのち、日吉代表のリードによってディスカッションへ移りました。

メンバーから挙げられた問題点は、

・ 財政の硬直化

・ 世代間の不平等

・ 国債の価値が下がる

などです。

 

 日吉代表によると、プライマリーバランスをゼロへ近付けることで、財政の黒字化を目指し、財政を健全化させることができるのだそうです。 では、プライマリーバランスをゼロに近付けるにはどうすればよいのでしょうか。

 

 各グループでディスカッションし、プライマリーバランスをゼロにするための提言をまとめました。時間は20分、進行係、タイムキーパー、書記を決めて進めました。

 

<与えられた資料>

・ 日本の借金 919兆円 

 国民一人当たり 722万円 

 対GDP費 197,2%

 

・ 今の国家予算 

 歳出 92兆円 

 税収 41兆円

 

・ 平成23年度予算フレーム

 http://p.tl/NnHA

 

ディスカッション内容


■ 1班

・国内産業を活発化させる 

現在日本は、放射線の風評被害などで産業の停滞がおこっている。そこで、風評被害にあまりとらわれない技術面での産業を活発化させる。特に日本の技術力を生かして軍事技術作り、それを海外へ売ることを容認する。また、新幹線や水道などのインフラ整備など技術面の輸出を増やす。

・税金を少しずつあげていく 

消費税を国民が気付かないぐらい少しずつ上げていく。

・居眠り政治家から罰金を取る 

国の代表として政治の場に立っている政治家の態度等を是正する目的。国会議員の数を減らすことも視野にいれる。

・国公立の学校(小中高大)の学費を上げる 

国公立へ通う人にも富裕層は多い。奨学金などに経済的に苦しい人は頼ってもらい、国公立の学校の学費を上げることで歳入のアップを狙う。

 

 

■ 2班 「財政を健全化させるには」 

 私たちの班では、財政を健全化するために、歳入の増加と歳出の削減という二つの観点から、3つの税のあり方について考えた。 

 まず、歳入の増加に関していうと、主に①消費税の引き上げをする、ということである。3/11の大震災を経て、今現在引き上げることはさらなる混乱を生む可能性があるが、数年後には必ず上げなければいけないのは明らかだ。ただ一括に上げるのには、生活困窮者のことを考慮すると反対であり、

・生活必需品は上げない 

・嗜好品は上げるべきだと考えた。

イギリスでは食料品は税率をかけないらしいが、日本も税率0にしないまでも生活必需品に関してはこれに倣うべきであろう。

  次に、歳出の削減に関していうと、②法人税を下げ、③社会保障費を削減するべきだ、と考える。法人税を下げることは、国内の産業を活性化させ、結果的に国内需要を上げる目的がある。また、国内に産業が海外に出ていくのを食い止めるのも理由の一つである。そして、社会保障費に関しては、

・こども手当・防衛費関係・アメリカへのおもいやり予算の削減

を提唱する。

 

 いずれも必要な歳出であるが、大震災に伴なるこれからの日本の支出を考慮すると、優先順位を変えなければならない。こども手当に関しては、全家庭を対象にするのではなく、所得によって制限するべきである。防衛関係費に関しては全体的に節約の方針を推進すべきと思うが、武器などの高価なものを取り入れる対外政策よりも、災害対策を重視した予算の組み替えをするべきである。今回の大震災の復旧に自衛隊が大きな働きをしているのは周知の通りである。おもいやり予算に関しては、日本の財政状況や国際状況を踏まえると、この歳出は極力削減するべきである。 

 

 以上が私たちの班が考えた日本の財政健全化に関する提言である。

 

 余談となるが、震災により被害を受けた地域のインフラを企業に任せ、建設業のような民間に成長してもらうことにより、日本経済を活性化してほしいとの意見も出た。

 

■ 3班

 福地班は財政の健全化、即ち「プライマリーバランスの黒字化」への改善方法として大きく三つの軸を考えた。その三つとは「景気の回復」、「歳出の削減」、「税収入の増加」である。以下にその具体案を記す。 そもそもプライマリーバランスが大赤字の日本にとって、黒字化を成し遂げるためには「歳入の増加」と「歳出の削除」を同時に行う必要がある。しかしながら、ギリシャのようにいきなり歳出を削減して、公共サービスの質を低下させることにはかなりの反発が予想される。よって、日本においては歳出の削減よりも歳入の増加を考える方が即効性・現実性があると思われるので、わが班は歳入の増加を中心に考えた。 

 

 歳入の増加のシナリオは主に2パターンある。一つは増税、もう一つは景気の回復である。ここで、現時点における日本の状況並びに過去の政治の歴史の帰納法により、「増税」をマニフェストに掲げる政党は選挙で勝てないことが予想されるので、必然的に景気の回復を狙う方がよい、ということがわかる。また、増税によって景気が悪くなり、税収が減っては本末転倒であるため景気の回復の方がより現実味があることがわかる。ここで、そもそもなぜ税収の増加をねらうために景気を回復させるのかというと、日本の「累進課税制度」の持つビルトインスタビライザーの効果により、税収の増加を望める(健全な方法で)から、ということを押さえておく。それでは具体的にどのように税収を増加させるのか、という議論の結果「減税(特に法人税)」「付加価値税の導入」が挙げられた。「法人税の減税措置」については、それにより日本企業の残留・海外企業の日本誘致をすることができて、一つ一つの企業から得る税金の量は少なくなっても数が増えるので税収がアップする、というものである(即ち本質的には税の収益関数は税率に対して必ずしも単調増加ではないことを利用するということである)。これは愛知などの地方自治体レベルでは成功しているので、導入に際し抵抗が少ない、というメリットもある。

 

 もう一つの方法、「付加価値税の導入」は、それにより「お金持ちが買う嗜好品」からより多くの税金を取れるため、消費税の水平的平等(つまり垂直的不平等感)を垂直的平等に変えることが出来、かつ高いものにより高い税金をかけることで全体として取れる税金の量を増やせることがメリットである。しかしながら、企業の業種によって大きく有利・不利が分かれ、企業間の平等問題が発生するデメリットが考えられる。これについては、国が税率の高い「嗜好品」に関して人的に「流行」を作成し、購買意欲を促進させることで穴を埋める、ということで平等が保たれるという意見が出た。しかしながら付加価値税を導入する上での最大のデメリットは「嗜好品」と「生活必需品」との線引きが個々の商品についてあいまいで統一的な議論ができないことが挙げられる。しかしそれらのデメリットを国民一人一人と協力しながら、乗り越えた時、真の財政健全化が始まるだろう。

 

■ 4班

 私たちは、国家予算を増やす方法を、長期的な視点から考えてみた。

① 消費税の税率を上げる

・3年または5年単位で段階的に上げていく

・特に嗜好品には、より多くの税金をかける

② 少子化対策をする

・税収が増加したところで、それらを少子化対策に投入する

③ 人口が増加する

・同時に消費も増える こうして、消費を増やし、経済を活性化させることによって、さらに国家予算を拡大していく。

以上が、私たちの班の提言である。

 

■ 5班

 日本国家の財政を回復させるには?

・高齢者からもっとお金を取る! 

→高齢社会で人口が増えるため仕方がない。具体的には、小泉政権が実施していた後期高齢者医療制度を復活させるなど。

・宗教法人の非課税をやめる! 

→現行の法制度では宗教の自由、平等を確保するため宗教法人は非課税だが、財政危機を鑑みて課税すべき。それに、日本にたくさんある宗教法人から課税すればかなりの財源になるのでは?

・一回財政破たんさせろ! 

→一度財政破たんさせた国(韓国やアルゼンチン)がIMFの支援を受け現在では持ちなおしているという事例を踏まえ日本も一度財政を破綻させてはどうか?

以上のように杉田班ではリアリズムに基づいた発想がなされ、コスト削減より増税という視点、全く新しい視点からの意見が出ました。

 

■ 6班

Q.プライマリーバランスを黒字にするには?

A.移民の受け入れ

A.日本ブランドの価値を上げる

A.増税 以下、移民受け入れについて検討。

 

○ 移民受け入れにおけるプラス面・マイナス面

<プラス面>

・人口が増えることによる、税収UP

・地域の活性化

・製造業の活発化

・国際交流

→ 日本ブランドを知ってもらえる

・世界的に見て開放的な国家になれる

<マイナス面>

・移民が貧困層になりうる

→ 新たな社会保障が必要・受け入れ態勢を整えるまでのコスト(憲法改正も必要?)(・治安の問題 )

 

◎ 結論

 移民はあくまで理想論。保守的な国民性を鑑みても移民を受け入れるのは難しいだろう。国民性の見直しのため教育面からも変えていく必要があるだろうし、選挙権の問題などから憲法改正も必要になる。実現させるには長いスパンで見なければならない。

 

■ 7班

・歳出面ODAの見直しを実施し、必要が無いと判断されたものはカットする。

プラス面…まとまった額を確保できる

マイナス面…外交に悪影響をあたえる可能性がある 

 

・社会保障関係費、扶養控除の見直し 

プラス面…社会保障関係費の財政の健全化、継続可能に 

マイナス面…社会的弱者の負担増加

 

・歳入面 ぜいたく品(必要品以外)の製品への増税 

プラス面…所得が多い層から効率的に税を回収できる 

マイナス面…経済が停滞する可能性がある (他、宗教法人への課税などの意見もでた)  

 

当グループでは、以上のように歳出・歳入面の見直しをすることで、プライマリーバランスはゼロへとつがなると考える。

 

■ 8班

プライマリーバランスの黒字化(国際公約) 

…国の収入を上げるには?国の歳出を下げるには?

① 無駄を省く

② 雇用を増やす

・現在の状況で民間が雇用を増やすことは難しい。ITなど、今発達しつつ ある業界は人員が要らず、また、民間企業は業績が大切だから。 

・法人税を下げることで民間雇用力をあげる 

・農業で雇用を生む。JA等の介入を避け、より利益の出やすい形での農業運営。農業の法人化

③ 税収を増やす 

・消費税を1%ずつ上げていく。 

・消費税をあげ、生活困窮者へは、ばら蒔き分を生産的な方法で(就労支援等)補う