2015年度 第4回フィールドワーク

磯子火力発電所

 11月7日、磯子火力発電所に付設されているISOGOエネルギープラザにて、第4回フィールドワークを開催いたしました。

 今回のフィールドワークは第4回テーマ定例会にて扱った、『再生可能エネルギーと持続可能社会』というテーマと連動しており、実際に一次エネルギーが二次エネルギーに転換される様子を見学することで、発電をより身近に感じ、更なる学びの意欲を喚起する機会とすることを目的として行われました。

クリーンコールエネルギー


 受付を済ますとサークル員はまず磯子発電所の施設及び、石炭火力発電についてのビデオを用いた説明を受けました。

 石炭火力発電と聞くと、旧世代で環境に悪いイメージが思い浮かびがちですが、現代の技術は窒素酸化物や煤塵などの有毒物質の大気放出を8~9割カットすることにも成功しており、磯子火力発電所では石炭火力のみで凡そ200万世帯分の火力を発電しています。また、「クリーンコールエネルギー」と呼ばれる一連の環境に配慮した技術は海外にも積極的に輸出されているそうです。

 説明後は、施設の100分の1スケールの模型を見せて頂き、一同、外から見るだけでは分からない、その規模の大きさに驚いている様子でした    

発電タービン室


 模型の展示を見終わると、続いてはいよいよ設備の見学です。

 まずサークル員が案内されたのは、発電タービン室でした。そこには円柱状の二機の巨大なタービンが横たえられており、施設の方からの説明が全てイヤホン越しにでないと聞き取れない程けたたましい轟音と共に回転を続けていました。タービン室はタービンの規模に対して広すぎるのではないか、と疑問に思うサークル員もいましたが、これはタービンの点検整備をする際に全ての部品を分解して並べる必要があるからなのだそうです。

 タービン室の見学が終わり、一歩外に出ると、驚いたことに先ほどまでの轟音は全くと言っていいほど聞こえなくなりました。施設の内壁には超高性能の防音材が使われており、周辺環境への配慮も抜かりがありませんでした。

屋上見学


 続いて私たちはボイラー棟へ向かいました。ボイラー棟には超高性能の断熱材が用いられており、屋外への熱の放出を最低限に抑える工夫がなされていました。ボイラーは高熱による膨張を考慮して上から吊り上げられる形で設置されており、それを支える柱の中にエレベーターがありました。そして私たちはそのエレベーターで屋上へと案内されました。屋上からは東京湾、みなとみらいなどが見渡せました。すぐ近くには石炭の運搬船も停泊しており、世界から運ばれて来た石炭が取り込まれている最中でした。

 目線を移すとそこには、高さ200メートルの排煙脱硫装置であるタワーがそびえたっており、根本から見上げるそれは実に迫力満点でした。このタワーは見る方向によってシルエットが異なるという特異なデザインで、特に三渓園からは景観保護の観点に基づいて、タワーが極力視界に入らないように設計されている点にサークル員は興味を持っていました。

古くて新しい石炭


 産業革命以来、第二次世界大戦まで、主力燃料として長きにわたって用いられていた石炭ですが、ここにきて改めてその有用性が見直されてきています。それでこその『古くて新しい石炭』というキャッチコピーにサークル員一同、納得の様子でした。一度はエネルギー産業の主役の座を明け渡した石炭が、こうして再び脚光を浴びている様は非常に示唆的でした。恐らく今の社会にはこの石炭と同じように実はまだまだ有用性のある資源があるのではないでしょうか。資源に限らず、様々なモノや機会に対してそのような目線は常に持っておきたいものです。

 


文責 馬欠場直人