2016年度 第2回リフレクション

労働のミスマッチ~働くということ~


 6月3日、日吉キャンパスにて「労働のミスマッチ~働くということ~」というテーマのもと、ディベートを行いました。

論題「建設業の労働者不足を今後10年間で解決するために政府は何をするべきか」


 建設業とは、建築業や土木業を指します。建設業界に人が集まらない原因を考えた上で、雇用の創出方法を考えました。

具体的方策


建設業に対するイメージの改善  

 労働者不足の原因は、労働環境の悪さや女性登用が遅れているというイメージによるものである。労働環境については、社会保険の加入率の低さが課題となっているため、社会保険への加入を義務付ける。女性登用の遅さについては、多くの建設現場で女子更衣室等の設備がなされていないという現状を改善するために、現場の設備だけでなく女性向けの作業服や装備の導入を提案する。

 

危険の「見える化」

 労働者不足の原因は、建設現場が危険であるというイメージによるものである。すべての企業に、啓発ポスター等による意識改革、高所作業や電動器具・建築機材の使用時の対策を義務付ける。

 

新しい資格づくり 

 労働者不足の原因は、建設の仕事が誰にでもできるという認識によるものである。道具や重機を扱う精度等を計る新たな資格をつくることによって付加価値が創出され、自分を売り込むチャンスが増える。また、資格により労働者が自分の職業に誇りを持って働くことができる。

 

若者への教育 

 労働者不足の原因は、若者の入職率の低さにある。若年層に対して建設業へのイメージアップを図るべきである。そのため、日本の建設業界の優良企業が中心となり、職業体験の一環としての建設会社での社会見学や実際の社員さんと触れ合うような機会を設ける。

 

重層下請け構造の改善 

 重層下請け構造とは、元請け業者が請け負った仕事の全部または一部を請負人に依頼し、その請負人がその仕事の全部または一部をさらに下請させる形態のことである。労働者不足は、重層下請け構造から生じる低賃金、長時間労働という認識に原因がある。重層下請け構造を改善するため、下請け会社同士の合併を促す。合併を促す方法として、法律による優遇制度(福利厚生の充実、週休2日制の導入)を行う。

 

補助金の投入 

 労働者不足の原因は、建設業界の賃金の低さにある。そのため、新たに建設業に就労した人へ10万円程度の補助金の支給を行い、人材の獲得を図る。補助金の財源は①東京都からの支出②消費税増税による実現を想定している。

 

退官自衛官の活用 

 労働者不足の原因は、オリンピック特需と東日本大震災によるものである。退官自衛官は、現役時に重機や大型車両などの運転資格を有しており、即戦力となる技能労働者として雇用することができる。防衛省は、退官自衛官を受け入れ、年数回の訓練への出席を許可する企業には、同省の入札に参加した場合、総合評価において加点を行う。

 

外国人労働者の活用 

 労働者不足の原因は、オリンピック特需と東日本大震災によるものである。労働者の不足分を外国人労働者で賄う。建設分野の技能実習修了者について、受入企業との雇用関係のもとで建設業務に従事することができるようにする。また、受け入れにあたっては、賃金不払いや不法就労などの問題が生じないよう、優良な監理団体や受け入れ企業に限定するなどの新たな監理体制を構築する。

所感


 今回のリフレクションでは、「労働環境が悪い」、「危険である」、「低賃金である」、「長時間労働である」などのイメージを、建設業界の労働者不足の原因として挙げる班が多く見られた。こうしたイメージを改善していくことは簡単ではない。しかし、建設業界における根本的な問題について考えることは、こうしたイメージを打破することに繋がるだろう。ネガティブなイメージの改善が進めば、建設業界が将来の職業選択の一つになる日もそう遠くないのではないだろうか。

 

文責 鍋田真結子、宮寺ひとみ