2014年度 第6回フィールドワーク

@ANA機体整備工場


 2月13日、ANA機体メンテナンスセンターにて第6回フィールドワークを行いました。

 

 今回のフィールドワークは、定例会で扱ったテーマ「ものづくりとイノベーション」と関連させ、科学技術の結晶のひとつである飛行機の整備工場を見学し、日本のものづくりの最先端を体験的に学習することを目的として行われました。


お話会 ―空港の仕事の裏側を知る―


 ANAは国内線では最大の路線網を持ち、国内線乗客数では日本最大級の航空会社です。1952年に日本発のエアライングループとして設立され、今やアジア世界の国々をつなぐエアライングループとしてネットワークの拡大、商品、サービスの提供を行っています。

 

 また、東京国際空港の新整備場地区にあるANA機体メンテナンスセンターでは、飛行機が安全に飛べるように、定時整備や改修が行われています。

 

 東京モノレール新整備場駅から徒歩15分ほどの場所にあるANA機体メンテナンスセンターに到着すると、ANAスタッフの方々によるお話会から機体工場見学が始まりました。

 

 空港の構造や飛行機の整備業務、空港で働くスタッフのお話など盛りだくさんの内容でしたが、特に興味深かったのは、飛行機が空を飛ぶ仕組みについての説明です。ジャンボ機であれば180tもの重さになる飛行機は、2つの力によって空を飛ぶことができます。1つ目はエンジンの推進力です。ジェットエンジンが前方から空気を吸い込み、圧縮機で圧縮された空気が燃焼室でケロシンと呼ばれる燃料を加えられることで起きる爆発が反動力を生み、機体を前へ動かします。2つ目は翼の揚力です。主翼の形が上下で微妙に異なるように設計されていることによって、空気の流れに差異が生じ、揚力が発生します。以上のように、エンジンの推進力と翼の揚力という2つの力によって飛行機は空を飛ぶことが出来るのです。普段接する機会の少ない航空業界のエピソードはどれも新鮮な発見に満ちており、見学者はスタッフのお話に聞き入っているようでした。

 

格納庫見学 ―整備作業を間近で体感―


 講堂でのお話会が終了すると、いよいよ次は格納庫での整備作業中の実機見学です。格納庫に入ってまず驚かされるのは、格納庫の広さです。東京ドームの約1.8倍もの大きさに匹敵する格納庫に飛行機、整備用機材が並べられているようすは圧巻でした。

 

 格納庫内では小型機から大型機まで多くの飛行機を見ることができるとともに、その整備風景、タイヤやエンジン等の部品を間近で見ることもでき、見学者はそのスケールの大きさに圧倒されているようでした。飛行機を取り囲むように備え付けられた大きな足場の中で、整備員の方々の手によって飛行機が整備されているようすを見学し、飛行機の構造や整備について、実物を見ながら学ぶことが出来ました。

 

 機体整備には、毎日の「運行整備」、375~600時間ごとに行われる「A整備」、3000~6000時間ごとに行われる整備で、約1~3週間かけて多くのパネルや部品を取り外して行う「C整備」、4~5年ごとに行われ、機体構造の点検や防蝕作業を行う「HMV」の4種類の整備があります。また、1つの整備の中にも外部・機能点検や修理・内部点検、作動点検など多くの段階があり、見学を行った格納庫内でも整備士の方々がそれぞれの業務を行っているようすが見て取れました。私たちが目にする空港での航空機整備(運行整備)は航空機整備点検のごく一部に過ぎないということを知り、改めて航空機の安全が私たちの想像以上に綿密な整備作業の上に成り立つものであることを実感しました。

 

 格納庫の見学が終わると、ANA機体メンテナンスセンター見学は終了です。

 

 ものづくり技術の結晶とも言える航空機について体験的に学ぶことで、日本のものづくり技術の高度さ、そしてその安全性を保つために24時間体制で整備作業に従事する整備士の方々の努力を間近に感じることができ、新たな学びの多い1日となりました。

 

文責:矢部麻里菜