2019年度 第1回事前学習

クルマの歩みと自動運転の可能性


 4月26日、日吉キャンパスにおいて第1回事前学習が行われました。これから3週間かけて学ぶテーマは「クルマの歩みと自動運転の可能性」です。今回は須賀田・土方によるファシリテーション形式で、車社会の基礎知識や現状、今後の展望を考察しました。以下はその内容です。

車の手動運転の諸問題


 現在に至るまでのクルマの歩みを基礎知識として確認した後に、「人が運転する自動車の問題とは何か?」について個人ごとのシンキングタイムを設けました。サークル員からは渋滞の発生や不慮の事故、とりわけ高齢者による凄惨な事故などの課題が挙げられました。

自動運転とその利点と問題点


 手動運転の問題点を確認した後に、自動運転車に乗りたいかどうかイエスノーの形式でサークル員に問いました。イエス側からは、「自動運転と各個人の運転技術を比較して考えてみると、自動運転のほうが安全性が高い」といった意見、ノー側からは、「自分の意と別にアクシデントが起きた場合、損害賠償をドライバーが行うなら自動運転車のドライバーになりたくない」といった意見が挙げられました。

 このようにサークル員の意見がほぼ二分していることを確認した後、自動運転には自動化されている機能の程度によってレベル分けがあることを学びました。この概要として、レベル0~2では責任はドライバーにあり、日本の現状の車はここまでで、レベル3は高速道路上のみ原則自動、レベル4は特定の場で完全自動、レベル5はハンドル不要の完全自動であるそうです。最高レベルであるレベル5の問題点として、システムハッキングのリスクやペーパードライバー化の進行、事故を避けることができない場合に歩行者とドライバーのどちらを犠牲にするか、というトロッコ問題が挙げられます。

車社会の現状と自動運転による未来


 自動運転の知識を踏まえ、「現在の車社会が抱える問題とその原因を分析し、その中で自動化によって解決できる問題はあるのか」というテーマでディスカッションを行いました。サークル員からは、「運転の効率化による排気ガスの削減で地球温暖化を抑制できる」、「車速の一定化によって渋滞の緩和が見込める」などといった意見が上がりました。

 このディスカッションを踏まえ、「社会における様々な立場の人の視点から自動運転を捉えてみると?」というテーマで、警察や農家、エンジニア、運送業者など社会における様々なワーカーの視点に立って、ミクロな視点で自動化運転を捉えるディスカッションをグループごとに行いました。総括として、「自動運転が導入されやすい分野と導入されにくい分野がある」という結論に至りました。

まとめ


 これらのディスカッションやシンキングを通じて、車の自動化には各立場にメリット・デメリットがあり、また自動化が導入されやすい分野・導入されにくい分野があること、さらに職を失う人や新たな職を得る人もいるということを学びました。

 そして、免許を所持しているかしていないかに関わらず一人一人が当事者意識を持つことが大切だということを共有しました。問題は山積みであり、それらの問題について勉強会やリフレクションを通じて、より考えや知識を深めていきたいと思います。

所感


 車の自動化は、現在の日本の車社会が孕む深刻な諸問題を克服しうる救世主となると言えます。しかし、社会の様々なワーカーの立場になって考えた時、全員が得をする社会にすぐになるとは言えないでしょう。また、AIが不慮の事故の際、ドライバーと歩行者のどちらを優先にするのかという倫理問題なども内包しており、自動運転の導入に不安も残っています。

  これらの問題点がどう扱われていくのか、自動化は果たして深刻な現状を改善しうるのか、これから当事者意識を持って見届けて考えて行きたいと思いました。

 

 文責:池端ムハンマド